香りの分析法とは?香料メーカーで働く薬剤師が解説

香りの分析法とは?香料メーカーで働く薬剤師が解説香料
香料

香りとは分析できるものなんだろうか?

私たちは日常的にいろいろな香りをかいでいます。いい匂いよくない臭い、色々ありますよね。

そんな香りたちはどうやって分析されているのでしょうか?

  • 香りってどうやって分析するの?
  • 機械の行う分析とは?
  • ヒトの行う分析とは?
モーリー
モーリー

香りの分析について解説していきます!

そもそも香りって分析できるの?

私たちのまわりにあふれている香り。そんな香りを分析する方法は……きちんとあります。

そもそも香りというものは、ヒトの鼻が「香りがある!」と認識する化学分子がいくつか混ざりあってできています。なので、香りの分析=化学分子の分析と言いかえることができるのです。

そんな香りの分析では、

  • どんな種類の化学分子か?
  • 化学分子の量はどのくらいなのか?
  • 混ざりあった化学分子はどんな香りなのか

について考えていきます。そして分析は、

  • 機械
  • ヒト

の両方が行うのです。そして、それぞれが違うアプローチで香りの分析をしていきます。

例えば、ヒトではどんな香りかについて考えることはできるのですが、化学分子の種類・量については正確に分析することができません。香りをかいでも「~という名前の成分が~%入っていて…」なんてピッタリと言い当てることなんてできませんよね。

香りの分析
香りの分析

では具体的に、機械とヒトは香りについてどのような分析をするのでしょうか?

機械をつかった分析

まずは、機械をつかった分析について見ていきましょう。今回は、クロマトグラフィーをつかった分析について紹介します。

考える人
考える人

クロマトグラフィーってなに?

クロマトグラフィーというものは、いくつかの成分の性質の違い使って分離する分析方法です。ここでつかう成分の性質というものは、

  • 大きさ
  • 重さ
  • 油っぽさ
  • 水っぽさ
  • 電気をまとっているか

こんなものになります。1つの香りに対していくつかのクロマトグラフィーを使い、どんな成分からできた香りなのかを分析していくのです。

クロマトグラフィー
クロマトグラフィー

機械の分析では、化学分子の種類化学分子の量について正確に分析することができます。しかし、化学分子たちがつくる香りについては分析することができません。

考える人
考える人

成分の種類と量が分かれば香りも分かるんじゃないの?

おっしゃること、とてもよく分かります……。これにも深い深い理由があるのですが、説明すると長くなりすぎるので、また別記事で詳しく紹介させていただきます……。

重さをつかったクロマトグラフィー

今回は、重さをつかったクロマトグラフィーの原理について見ていきましょう。詳しく言うと、筒の中へ香りを流して、成分ごとの反対側へたどり着くまでにかかった時間の違いをみて成分の重さを分析するのです。……イメージしにくいかと思いますが、下の画像でなんとなくわかっていただけると嬉しいです。

今回もオレンジの香りを例に見ていきましょう。オレンジの香りは、

  • リモネン (136)
  • ヌートカトン (218)
  • シトラール (152)

などの成分からつくられています。名前の横の数字その成分の重さになっているので、重さ順に並び変えると、

(軽い) リモネン < シトラール < ヌートカトン (重い)

になります。これらを筒へ流していくのですが、軽い成分は速く重い成分はゆっくり流れていきそうじゃありませんか?実際その通りで、軽いものから順番に筒から出てきて、それを検出して成分ごとの重さを分析するのです。

なのでオレンジの香りでは、重さが136・152・218の3種類の成分からできているということがわかるのです。

オレンジの香りを機械で分析
オレンジの香りを機械で分析
驚く人
驚く人

……えっ?

分かるのそんだけ?

これだけ分かるのもとてつもなくすごいことなのですが、実はそうなのです……。
この分析方法では香りを作る化学分子たちの重さだけしか分からないので、他のクロマトグラフィーをつかって化学分子の他の情報を得ないといけないのです。

ヒトの鼻での分析

次は、ヒトの行う分析について見ていきましょう。機械とは違い、ヒトは「~な香り」と表現することができるので化学分子がつくる香りについての分析を行います。

では、具体的にどのような方法で香りの分析をするのでしょうか?

形容詞で香りを分析

ヒトでは、セマンティック・ディファレンシャル法という方法をつかって香りを分析していきます。

笑う人
笑う人

いや長っ!

いったいどんなもの?

セマンティック・ディファレンシャル法……長すぎるのでSD法と呼びますね。
SD法は、香りについて数十個の対になる形容詞を使って香りの印象を決める分析法になります。

セマンティック・ディファレンシャル法
セマンティック・ディファレンシャル法

こんな表を使うわけですね。かいだ香りについて、この表の形容詞にあてはまるものを考えて折れ線グラフを作っていきます。

SD法の具体例
SD法の具体例

ここから化学分子のつくる香りの特徴がわかるようになるのです。

まとめ

  • 香りの分析というのは、言いかえると香りをつくる化学分子の分析になり、化学分子の種類つくる香りについて考えます。
  • 化学分子の種類・量については機械、化学分子のつくる香りについてはヒトが分析することができます。
  • 機械の分析ではクロマトグラフィーがよく使われています。クロマトグラフィーは成分ごとの性質の違いについて分離する方法で、1つの香りを分析するためにいくつかのクロマトグラフィーをつかって化学分子の種類と量を分析します。
  • ヒトの分析ではセマンティック・ディファレンシャル法という方法がつかわれます。この方法は、数十種類の対になる形容詞の書かれた表をつかって香りの特徴を明らかにする分析方法です。
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