サンダルウッド アイキャッチ

【サンダルウッド】オリエンタルなウッディベース、仏教の供の木について徹底解説!

Namaste !

薬剤師のフレグランスブランド・Ph.fume の解説ブログ、香料原料の紹介シリーズ記事です。

今回は、古くから仏教の供として瞑想や仏具に利用されていたサンダルウッドについて解説していきます。

プロフィール

サンダルウッド イメージ

ビャクダン科の高木

アイコン 高木

サンダルウッドは、ビャクダン科の植物です。
日本では白檀とも呼ばれており、よい香りを持つので香粧品に広く利用されています。サンダルウッドは半寄生植物という分類の高木で、自身では土壌から栄養素を吸収することができず、近くの樹木の根に自らの根を固定し樹液を取り込むことで10mほどにまで成長します。成長を他の植物に依存することと収穫できるまでに60年もの年月を要すること、雌雄異株であることから栽培がとても難しい植物といわれています。

産地はインド

アイコン インド

香料として利用されるサンダルウッドは、主にインドで栽培されています。
収穫できるまでの期間が長いことと高価で取引されるために盗伐や乱伐が続いていることからサンダルウッドは数を減らしており、現在はインド政府によって厳重に管理されています。そのため、インド産のサンダルウッドエッセンシャルオイルは値段が高騰しており、ニューカレドニア産やオーストラリア産のものが代用として利用されることもあります。

仏具にも利用される木

アイコン 木片

サンダルウッドの香料は、木材の中心部にあたる心材という部位から抽出されます。
サンダルウッドは香料の抽出のほか、仏具や扇子の心材としても利用されています。また、木材をペースト状にしたものは抗菌作用や肌に潤いを与える作用もあると考えられており、インドでは高級化粧品などにも利用されることがあります。

水蒸気蒸留法でエッセンシャルオイルを抽出

アイコン 水蒸気蒸留法・木

サンダルウッドのエッセンシャルオイルは、木の心材に水蒸気蒸留法を用いることで抽出されます。
香り成分を多く含む心材を蒸留器に入れ、40~70時間かけて抽出することで収率が5%ほど、心材100gから5gほどのエッセンシャルオイルを抽出することができます。

エッセンシャルオイルの成分

サンダルウッド オイル成分
サンタロールウッディの香り
サンダルウッドの主な香り成分。いくつかの異性体が存在するが、サンダルウッドに特有な香りは専らα-サンタロールによるもの。

香りのスペック

サンダルウッド 香りスペック

サンダルウッドの香りは、2時間以上経過して残る香りであるラストノートに分類されます。エッセンシャルオイルに含まれる成分に大きな化合物が多いので、香りは長い時間をかけて揮発していきます。また、香りの強さは普通よりやや強めの強さです。しかし、香りにあまり主張がなく残留性が高いので、他の香りの高い比率でブレンドするのではなく、他の香りの引き立て・調和に利用するのがオススメです。

香りの表現のキーワード

サンダルウッド 香りの表現のキーワード
表現に欠かせないキーワード
ウッディ
エキゾチック
オリエンタル
よく用いられるキーワード
甘い
落ち着き
マイルド
リラックス
関連のあるキーワード
安定感
穏やか
静けさ
重厚
上品
崇高
鎮静
デリケート
バルサム
深い
ミルキー
優しい

相性のいい香り

サンダルウッドは、甘く重厚で残留性の高い香りを持っています。シトラスやフローラルをはじめ幅広い香りと相性がよく、トップノートやミドルノートをとどめる保留剤としてミルキーな甘さを加え、香りに重厚感を与えてくれます。

アイコン トップノート|  トップノート  
オレンジ
シナモンリーフ
ローズマリー
アイコン ミドルノート|  ミドルノート  
イランイラン
カモミールローマン
ローズ
アイコン ラストノート|  ラストノート  
シダーウッド
パチュリ
筆者オススメブレンド
サンダルウッド × シダーウッド
サンダルウッドの持つ甘い上品なウッディな香りにシダーウッドのスパイシーな風味が加わることにより、主張のある深いウッディな香りに変化します。
サンダルウッド × ローズマリー
ローズマリーのクリアで爽やかなグリーンの香りにまろやかな甘みを与え、穏やかで安心感のあるグリーンな香りに変化します。

代表的な香水

ロードゥイッセイ プールオム
(ISSEY MIYAKE)

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クリアな透明感の中に、ウッディの斬新な香りのエッセンス。

新しい香水の教科書|小磯良江
アイコン トップノート|  トップノート  
タンジェリン
ユズ
レモン
アイコン ミドルノート|  ミドルノート  
ウォーターリリー
アイコン ラストノート|  ラストノート  
アンバー
サンダルウッド
ベチバー

参考文献

*バーグ文子「アロマテラピー精油辞典」, 成美堂, 2022年06月20日
*平山令明 [「香り」の科学 ] , 講談社, 2017年06月20日
*中島基貴「香料と調香の基礎知識」, 産業図書, 1995年06月21日
*小磯良江「新しい香水の教科書」, マイナビ出版, 2022年06月30日
*アネルズあづさ「アネルズあづさの精油ブレンドバイブル」, 河出書房新社, 2016年10月30日
*アネルズあづさ「香りを楽しむ特徴がわかるアロマ図鑑」, ナツメ社, 2023年01月04日
*林真一郎「世界一やさしい!アロマ図鑑」, 新星出版社, 2020年08月25日
*フレディ・ゴズラン, グザビエ・フェルナンデス「調香師が語る香料植物の図鑑」, 原書房, 2013年05月30日

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