こんにちは!
薬剤師のフレグランスブランド・Ph.fume の解説ブログ、香りの基本知識シリーズ記事です。
今回は基本中の基本、香りと嗅覚について色々な角度から解説していきます。
香りとは

嗅覚で感じることの出来る感覚

香りとは、嗅覚で感じることの出来る感覚のことをいいます。
嗅覚は、鼻がセンサーとなって認識する五感のひとつです。匂い物質が鼻に入ると、鼻の中にあるセンサーがそれをとらえて脳に信号を送ります。すると脳はその匂いを認識し、「シトラスの香りだ!」とか「フローラルな香りね!」といった風に匂いを把握できるわけです。
匂い物質の正体は化学物質

香りというものは、様々な化学物質を鼻がキャッチすることで引き起こされています。
化学物質というのは、上のアイコンのような構造式がかける物質のことをいいます。匂いのある化学物質は40万種類以上も存在すると言われており、私たちの周りにある香りはそれらの物質が複雑に混ざり合って作られています。ちなみに、味覚も化学物質によって引き起こされる感覚なので、嗅覚と味覚はとても近しい感覚とされています。
本能に訴えかける原始的な感覚

嗅覚は、人間の五感の中で最も原始的な感覚だと言われています。
嗅覚以外の五感は、刺激を認識すると大脳新皮質→大脳辺縁系という順番で信号が送られます。大脳新皮質は理性・知性を、大脳辺縁系は本能・感情を司る部位なので、言い換えると、理性→本能の順に信号が伝わるわけです。一方、嗅覚は大脳辺縁系→大脳新皮質の順で信号が送られるので、はじめに本能を司る部位に信号が送られます。なので嗅覚は他の五感と比べて、食欲や性欲、記憶や喜怒哀楽といった本能にダイレクトに影響を与える感覚といわれています。
香りの種類
香りは様々な観点から色々な分類に分けることができます。今回は、香料の由来になる動植物による分類について紹介します。
シトラス
![]() | 柑橘類の香り |
フレッシュな柑橘系の香りです。オレンジやグレープフルーツなどが代表的で、軽やかで爽快感のある香りです。リフレッシュしたいときや体臭を軽やかにしたいときなどに活躍します。 |
フローラル
![]() | 花の香り |
数多く存在する花の香りの総称です。グリーンな香りのミュゲ、華やかな香りのローズをはじめとした燦燦たるメンツが勢ぞろいです。それらの香りを使い分ければどんな場面でも活躍できるでしょう。 |
ハーバル
![]() | 葉の香り |
さっぱりとしたハーブの香りです。カモミールやローズマリーなどが代表的で、穏やかで安心感を与えるような爽やかな香りです。空気清浄やリフレッシュしたいときなどに活躍します。 |
ウッディ
![]() | 木の香り |
温かみのある樹木の香りです。サンダルウッドやシダーウッドが代表的で、落ち着きや安心感を与える重厚な香りです。気分を落ち着かせたいときや安眠したいときに活躍します。 |
フルーツ
![]() | 果物の香り |
フレッシュでジューシーなフルーツの香りです。ピーチやマンゴーなどが代表的で、トロピカルな甘い香りです。リフレッシュしたいときや元気を出したいときに活躍します。 |
スパイシー
![]() | 香辛料の香り |
料理でも使われることの多いスパイスの香りです。ジンジャーやシナモンが代表的で、刺激的でパワフルな香りです。心を温めたり気持ちをスッキリさせたいときなどに活躍します。 |
バルサム
![]() | 樹脂の香り |
バニラなどを想像するこっくりとした甘い香りです。ベンゾインやミルラといった木の樹脂が代表的で、重厚で深い香りです。ふんわりとした香りに包まれてリラックスしたいときなどに活躍します。 |
香りの効果
香りにはとてもたくさんの効果があります。今回は代表的なものの中でも、より効果を実感しやすい4つの効果をピックアップして紹介します。
リラックス

やらないといけないことや考えないといけないことが多いと、気持ちを落ち着かせることが難しくなりますよね。そんな時は、優しく深みのある香りがオススメです。香りに包まれ穏やかな気持ちになれる時間を作って、緊張の糸を緩めてみましょう。
リラックスにオススメの香り |
トップノート グレープフルーツ, ペパーミント, レモングラス など |
ミドルノート イランイラン, ペティグレン, ローズ など |
ラストノート ベチバー, ベンゾイン など |
リフレッシュ

集中力が落ちて仕事と休息のオンオフが切り替えられずに、色々とうまくいかないときもありますよね。そんな時は、さっぱりとした爽快感のある香りがオススメです。気持ちを切り替えたいときに、香りを拡げて集中力を高めてみましょう。
リフレッシュにオススメの香り |
トップノート オレンジ, カルダモン, ベルガモット など |
ミドルノート カモミールローマン, ジャスミン, ネロリ など |
ラストノート サンダルウッド, コーヒー など |
安眠

疲れが溜まりすぎていたり緊張が続いていると、寝つきが悪くなったりすぐに目が覚めてしまったりしますよね。そんな時は、温かみや安心感を感じる香りがオススメです。張りつめた心を緩和させることで眠りも深くなり、寝起きもスッキリとしたものになるでしょう。
安眠にオススメの香り |
トップノート シナモンリーフ, レモン, マンダリン など |
ミドルノート フランキンセンス, マジョラム, ラベンダー など |
ラストノート シダーウッド, バニラ など |
空気清浄

タバコやペットの臭い、湿気の高いこもった空気……そんな環境にこもっていると、気持ちまで沈んでしまいますよね。そんな時は、スッキリとしたスパイシーな香りがオススメです。どんよりとした空気をリセットし、快適な空間にしてくれるでしょう。
空気清浄にオススメの香り |
トップノート クローブ, ユズ, ユーカリ など |
ミドルノート サイプレス, ティートリー, ローズマリー など |
ラストノート パチュリ, ヒノキ など |
香りの楽しみ方
香水などを使って香りをまとったりディフューザーなどを使って香りを漂わせたり……たくさんの香りの楽しみ方がありますよね。今回は、空気中によい香りを拡げるグッズを使った香りの楽しみ方について紹介していきます。
キャンドル

香りと光、2つの要素で気持ちを癒してくれるキャンドル。
キャンドルの炎の揺れや炎の色は、人の心を落ち着かせリラックスさせてくれる効果があります。その癒し効果に乗せて香りを楽しむことができるので、抜群の癒し効果を持っています。寝る前のリラックスタイムの他にも、朝の寝起きに1日のはじまりのサインとして使うのもオススメです。ただし、火を使うので置き場所には十分に注意しましょう。
アロマスプレー

瞬時に空間の香りを変えてくれるアロマスプレー。
香りの持続時間が2~3時間と短いので、ディフューザーと併せて使ったり他のアロマスプレーと使い分けができる便利グッズです。急な来客があったときや気分を変えたいときなどにオススメです。
こんにちは! 薬剤師のフレグランスブランド・Ph.fume の解説ブログ、香りの雑貨紹介シリーズ記事です。 今回は、Ph.fume 自社商品であるスプレータイプのアロマグッズ・Room Fragrance について解説していき[…]
ディフューザー

火や電気を使わないで長期間香りを拡げてくれるディフューザー。
瓶にスティックを挿しておくだけでお部屋全体に自然に香りを拡げてくれるお手軽グッズです。デザイン性の高いアイテムが多いので、インテリアとしても楽しむことができます。いつもお部屋をいい香りに保ちたい方にオススメです。
こんにちは! 薬剤師のフレグランスブランド・Ph.fume の解説ブログ、香りの雑貨紹介シリーズ記事です。 今回は、Ph.fume 自社製品であるスティックタイプのアロマグッズ・Reed Diffuser について解説していき[…]
アロマストーン

お手軽に香りを楽しめるアロマストーン。
火や電気を使うことなく、お気に入りのアロマオイルをストーンに垂らすだけで香りがゆっくりと拡がっていきます。ディフューザーやスプレーに比べると香りは弱いですが、クローゼットなどの狭い空間には最適です。また、使わなくなったフレグランスグッズをストーンに滴下・スプレーすることで新しい香りの楽しみ方を発見できるかもしれませんよ。
参考文献
*バーグ文子「アロマテラピー精油辞典」, 成美堂, 2022年06月20日
*平山令明 [「香り」の科学 ] , 講談社, 2017年06月20日
*中島基貴「香料と調香の基礎知識」, 産業図書, 1995年06月21日
*小磯良江「新しい香水の教科書」, マイナビ出版, 2022年06月30日
*アネルズあづさ「アネルズあづさの精油ブレンドバイブル」, 河出書房新社, 2016年10月30日
*アネルズあづさ「香りを楽しむ特徴がわかるアロマ図鑑」, ナツメ社, 2023年01月04日
*林真一郎「世界一やさしい!アロマ図鑑」, 新星出版社, 2020年08月25日
*フレディ・ゴズラン, グザビエ・フェルナンデス「調香師が語る香料植物の図鑑」, 原書房, 2013年05月30日