尿素とは?ハンドクリームの成分としての効果について解説

薬剤師
薬剤師

ハンドクリームの配合成分の1つ、尿素。」

手を乾燥から守ってくれる心強い味方、ハンドクリーム。その配合成分としてよく見かける尿素という存在。

その尿素は一体どんな目的で配合されているのでしょうか?

  • そもそも尿素とはどんなもの?
  • ハンドクリームに配合される尿素の効果とは?
モーリー
モーリー

尿素の効果について解説していきます!

そもそも尿素ってどんなもの?

まずは、尿素というものがどんなものなのかについて見ていきましょう。

尿素の構造
尿素の構造

これが、尿素の構造になります。結構簡単な構造ですよね。

尿素というぐらいですから、動物の尿に含まれる成分になります。動物の身体の中でのはたらきは後ほど紹介しますね。

尿素単体では、室温では白色の結晶で存在します。トゲトゲの結晶やフワフワの結晶などいろいろな形の結晶をつくることができます。子供のころ、自由研究などで尿素のツリーなんかをつくった人もいるのではないでしょうか?

尿素結晶のツリー
尿素結晶のツリー

 尿素はヒトの身体の中でなにをしているの?

動物の尿の中に含まれる尿素。ヒトの身体の中ではいったいどんな仕事をしているのでしょう?

一言でいうなら、有毒なアンモニアを体の外に排出することです。実はとても重要な仕事をしているのがこの尿素なのです。

私たち人間は、動物の肉などのタンパク質を食べたあと、消化などのいろいろな過程を経てアミノ酸に分解されて身体に吸収されます。

しかし、分解できる量以上のタンパク質を食べるなどすると身体に吸収されずに腸まで流れてしまいます。そこで、腸内細菌によってアンモニアにまで分解されてしまい、体内に吸収してしまいます。

アンモニア、理科の授業でかいだ匂いを覚えている人も多いのではないでしょうか?とても嫌な匂いがする……すなわち人体に有毒な物質なのです。

体内にアンモニアがたまると、うまく呼吸ができなくなったり意識を保てなくなるなどとても危ないことになります。そんなことにならないように、ヒトの身体はアンモニアを尿素という形にかえて身体の外に排出しているのです。

ヒトの身体の中ではこんな重要な仕事をしている尿素。ハンドクリームに配合されている尿素は一体どのように作られるのでしょうか?

 尿素ってどうやってつくられるの?

ハンドクリームに配合されている尿素。一体どのようにつくられているのでしょうか?

驚く人
驚く人

尿に含まれている……。

まさか……!?

ご安心ください。尿から取ってきているわけではありません。ハンドクリームに配合されている尿素は1からつくられたものになります。

どうやってつくられているのかというと、

アンモニア (NH3) + 二酸化炭素 (CO2) → 尿素 + 

こうやって見るととても簡単そうですよね。実際、アンモニア水は 500mLを600円ほどで買えて、二酸化炭素は空気中に含まれている……。

しかし、上に書いた反応で尿素をつくるには2つの条件をクリアしないといけないのです。

  • 120℃に加熱
  • 150気圧の圧力をかける
考える人
考える人

120℃に加熱というのは分かっても、150気圧……?

私たちが暮らすこの地上には1気圧の圧力がかかっています。。つまり、150気圧というのは1気圧の150倍の圧力……。……とりあえず、とんでもない圧力をかけて反応させないと尿素はできないのです。

尿素の作り方
尿素の作り方

そんな尿素ですが、ハンドクリームの配合成分としてはどんなはたらきをしているのでしょう?

尿素のはたらき その1「保水」

1つ目の尿素のはたらきは保水です。読んで字のごとく、つ作用になります。

尿素の構造は水ととても相性がいいのです。どれくらい相性がいいのかというと、1つの尿素に3つ以上の水がくっつけるくらいなのです。

尿素と水の結合
尿素と水の結合

このような形で尿素と水はくっつきます。尿素あるところ水ありです。ハンドクリームの中でも同じことが起こっていて、手のひらの上でしっかり水分をくっつけて保湿してくれているのです。

少し詳しく言うと、尿素と水の結合には水素 (H)がつかわれていますよね?なので、このような結合を水素結合といいます。これは弱い結合なのですが、自然界には欠かせない存在で、ヒトの身体もこの結合がないと成立しないのです。

尿素のはたらき その2「角質をやわらかくする」

2つ目の尿素のはたらきは角質をやわらかくするです。

考える人
考える人

角質ってガサガサのもとじゃない?

ピーリングでとるやつ!

たしかに、角質がガサガサの原因とも言えますが……。それは刺激や乾燥などから肌を守るために、角質が必要以上に厚くなってしまったときなどに起こってしまうことなのです。

角質というものは私たちの皮膚を守ってくれる必要不可欠な存在で、

  • 保湿作用
  • 刺激から肌を守るバリア機能

という2つの重要な仕事をしています。綺麗な肌あるところ整った角質ありです。

では、一体どんなときに角質がガサガサになってしまうのでしょう?

皮膚が乾燥した状態が続いたり、圧迫などの刺激を受け続けると、皮膚は角質を厚くして自身を守ろうとするのです。その結果、本来ならほどよい厚さに保たれている角質が必要以上に分厚くなってしまい、ガサガサになってしまうのです。

 角質をやわらかくする作用

尿素は、そんな必要以上に厚くなってしまったガサガサ角質をやわらかくして取り除くはたらきもあるのです。この作用も先ほどの保水作用と同じく、水素結合がキーワードになります。

ヒトの身体は、あらゆるところに水素結合がつかわれています。角質も例にもれず、水素結合をつかって自身を形作っているのです。

今回の尿素のはたらきは、ガサガサ角質の中の水素結合を破壊することなのです。尿素は角質の中の水素結合を破壊することでやわらかくして、皮膚からはがれやすくすることができるのです。

角質を柔らかくする効果
角質を柔らかくする作用

まとめ

  • 尿素は、私たちの身体の中にも存在する物質で、有害なアンモニアを身体の外に排出するという重要な仕事をしており、生命活動に欠かせない存在です。
  • ハンドクリームに配合されている尿素は、アンモニアと二酸化炭素を高温・高圧力で反応させて作られています。……尿からとってきているわけではありません。
  • ハンドクリームに配合されている尿素のはたらきの1つは保水です。1つの尿素にいくつもの水がくっつける性質を活かして手のひらにうるおいを与えます。
  • ハンドクリームに配合されている尿素のもう1つのはたらきは角質をやわらかくすることです。乾燥や刺激などによって必要以上に厚くなってしまった角質を、水素結合を破壊することでやわらかくして皮膚からはがれやすくします。
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